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操上 広志
日本地下水学会2011年春季講演会講演要旨, p.28 - 33, 2011/05
地下水流動解析に基づく流線解析は、地層処分の安全評価における地下水移行シナリオにおいて重要である。混合型有限要素法は、連続体を対象とした有限要素解析手法であるが、従来のガラーキン有限要素法と異なり、流速の要素間の連続性が確保されることから、流線解析に優れた特徴を持っている。そのため、混合型有限要素法の地層処分への適用性を検討するために、本研究では、2次元四角形要素の混合型有限要素法コードを開発し簡易モデルに対して試計算を実施した。それに基づき、地層処分の安全評価にかかわる流線解析に対する今後の展望について考察した。
板津 透; 加藤 智子; 前川 恵輔
日本地下水学会2011年春季講演会講演要旨, p.34 - 39, 2011/05
放射性廃棄物の地層処分の安全評価の一部である生物圏評価では、地下から地表付近に至る核種の移行を評価する。そのため、物質の移行距離が長い点、及び地下から最終的に到達することが想定される河川や海底等への物質の流入量を求める必要がある点、それらの計算を不均質場において数値分散をできるだけ低く抑える必要がある点等を考慮した移流分散解析手法が求められる。本研究では、このような生物圏評価に必要な機能を持つ解析手法としてランダムウォーク法を導入し、MODFLOWによる地下水流動解析結果を利用できるプログラムを作成した。そして、その精度を解析解との比較で確認するとともに、生物圏評価に適用するための手法について検討した。
池田 誠; 宗像 雅広; 酒井 隆太郎; 木村 英雄; Jia, H.*; 松葉 久*
日本地下水学会2011年春季講演会講演要旨, p.86 - 91, 2011/05
本研究の目的は、分布型タンクモデルを用いて北海道北部地域を対象に涵養量の評価手法について検討を行うことである。対象地域が冬期に積雪、春期に融雪を伴う地域であるので、これらの現象を再現する積雪・融雪モデルも別途設置している。タンクモデルを構築した後に、メッシュ気候値2000の月降水量を入力データとする水収支計算を行った。水収支計算での蒸発散量は、衛星画像解析から得られた土地被覆分類からアルベドを考慮したマッキンク法を用いて推定を行った。構築したモデルの再現性の検証を行うため、対象地域内で河川流量を有する流域において水収支シミュレーションを実施し、良好な再現性を確認した。再現性を得られた際のパラメータを用いて、水収支計算を行い涵養量の評価を行った。その結果、年間の涵養量は1kmグリッドあたり平均で24.6mmであった。また、対象地域全体で年間降水量に対する涵養量の割合は2.0%となり、対象地域における涵養量は非常に少ないことが示唆された。本研究で構築した分布型タンクモデルを用いることで、対象地域における水循環を俯瞰し、地形・地質特性を考慮した広域的な涵養量評価が可能となった。